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第4話| 新品の機械がくれたのは、「性能ではなく安心」だった

インドでの仕事をきっかけに、少しずつ加工の仕事が増えてきました。

それまでは「今月をどう乗り切るか」だけを考える毎日でしたが、ようやく少し先の未来を考えられるようになってきたのです。

仕事が増えることは、本当にありがたいことでした。

しかし、その一方で、新たな不安も生まれていました。

創業時に導入した中古のマシニングセンタです。

その一方で、古い機械はいつ故障してもおかしくありません。

「もし今、この機械が止まったら、お客様との約束が守れない。」

そんな不安を抱えながら仕事をしていました。

そこで私は、新品の小型マシニングセンタを導入する決断をしました。

創業当初はリースの審査にも通りませんでしたが、少しずつ仕事を積み重ね、信用を得られたことで、ようやくリース契約が認められました。

ただし条件がありました。

頭金50万円。

当時の私にとって決して小さな金額ではありません。

それでも迷いはありませんでした。

仕事を続け、お客様との約束を守るために必要な投資だと考えたからです。

新品のマシニングセンタが工場へ搬入された日。

もちろん嬉しかったです。

でも、それ以上に感じたのは安心でした。

「これで仕事を止めずに済む。」

新品の機械がくれたのは、高性能ではありません。

安心して、お客様との約束を守り続けられるという自信でした。

新品のマシニングセンタを導入したことで仕事の幅が広がり、お客様からの依頼も少しずつ増えていきました。

そして、その流れに乗るように、3か月後にはワイヤーカット放電加工機も導入しました。

ワイヤーカット放電加工機。この設備の導入により、加工できる仕事の幅がさらに広がりました。

この機械は、前職で最初に覚えた加工機でもあります。

当時、私はワイヤーカット放電加工の技能検定1級を取得しました。

しかし、その頃は資格を持っているだけで仕事が増えるわけでも、給料が上がるわけでもありませんでした。

正直、「資格なんて取っても意味がない」と思ったこともあります。

ところが、自分で会社を経営するようになって、その考えは変わりました。

ワイヤーカットを導入した時、前職で身につけた技術と、技能検定で学んだ知識が、そのまま仕事に生かされたのです。

若い頃は意味がないと思っていた努力が、何年も経って会社を支えてくれました。

技術は、一度身につければ誰にも奪われません。

だから私は今でも、新しいことを学び続けることを大切にしています。

そして2012年6月。

私は会社を法人化しました。

創業してから決して順風満帆ではありませんでしたが、一歩ずつ積み重ねてきた努力が、少しずつ形になってきたことを実感していました。

設備も整い、仕事も少しずつ増えてきました。

創業当時は、目の前の仕事をこなすだけで精一杯だった私も、ようやく少し先の未来を考えられるようになっていました。

振り返ると、あの日、新品の機械が私にくれたのは、性能ではありませんでした。

どんな時でも、お客様との約束を守り続けられるという「安心」でした。

そして、その安心は、少しずつ会社への信用となり、次の仕事へ、さらに次の挑戦へとつながっていきました。

私は改めて思います。

技術は、一度身につければ誰にも奪われない。

そして、その技術を信じて積み重ねた努力は、必ずどこかで自分を支えてくれる。

あの頃には想像もできませんでしたが、この頃から会社は少しずつ、一人ではできない仕事に挑戦するようになっていきます。

一人では、会社は大きくできない。

そのことを、私はこれから身をもって学ぶことになります。

― 第5話へ続く ―

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