仕事は順調でした。
B君の退職という出来事はありましたが、新しくパートさんも加わり、会社は少しずつ落ち着きを取り戻していました。
私も再びロボットプログラムや設備立ち上げの仕事で全国へ出張するようになり、お客様からの期待に応えられる毎日が戻ってきました。
そんな中、Aさんは離婚しました。
当時32歳くらいだったと思います。
5歳と3歳の子どもがいて、1週間ごとに子どもを預かる生活になりました。
残業も以前のようにはできなくなりましたが、それでも仕事には真面目に取り組んでくれていました。
しばらくすると、子どもたちは元奥さんが面倒を見ることが多くなり、仕事も以前と変わらないペースに戻っていきました。
その後、Aさんは再婚します。
再婚してから2〜3年ほどは、以前のような穏やかな生活を送っているように見えました。
仕事にも大きな変化はなく、私も「もう大丈夫だろう」と思っていました。
ところが、再び離婚の話が出るようになると、少しずつ様子が変わり始めます。
最初は遅刻でした。
そして欠勤する日が増え、連絡がない日も出てくるようになりました。
私も心配になり、一緒に加工をする時間を増やしました。
すると、ある日Aさんがこう言いました。
「社長、一人で加工をさせてください。」
私は思わず、
「どうして?」
と聞き返しました。

Aさんは特別な理由を話すことはありませんでした。
私は、
「自分のペースで仕事をしたいんだな。」
そのくらいにしか考えていませんでした。
今思えば、Aさんはもともと人付き合いがあまり得意な方ではありませんでした。
だから私は、それ以上深く聞くことはありませんでした。
家庭でいろいろなことが起きているのは感じていました。
でも、それは会社が踏み込むことではない。
仕事だけしっかりやってくれれば大丈夫。
当時の私は、本気でそう考えていました。
しかし、その考えは間違っていました。
社員にも人生があります。
家庭の問題は、仕事とは切り離せるものではありませんでした。
そして、ある日。
Aさんは会社へ来なくなりました。

その日から、私は一人で工場を回すことになります。

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