求人を出しても、人が来ない。特に、すぐに加工を任せられる経験者を探すのは難しいです。
未経験の人を採用すれば、仕事を覚えてもらう時間が必要になります。教える間は、自分の仕事も思うように進みません。町工場を経営していると、人手不足の難しさを感じます。
私は加工の会社を16年続け、今はロボット自動化の仕事にも関わっています。人が足りない時にロボットは助けになるのでしょうか。今回は、自分の工場の仕事と、自動化を検討する時に見ていることを書きます。
求人を出しても、経験者は簡単には見つからない
加工の現場では、図面を読んで、段取りをして、機械を動かせる人が必要です。しかし求人を出しても応募がなく、経験者を探すのはなかなか難しいです。
それなら未経験の人を採用すればいいと思うかもしれません。ただ、機械の操作や加工の進め方を教えるには時間がかかります。教える側も現場の仕事を抱えているので、すぐに人手が増えた分だけ楽になるわけではありません。
自分の工場の仕事は、ロボットに任せにくい
私の加工工場でも、ロボットを入れたら楽になるだろうか、と考えたことはあります。ただ、うちの仕事は単品ものが中心です。製品が変わるたびに、材料も形も、つかみ方も段取りも変わります。
一つの製品に合わせてロボットを動かせるようにしても、次の仕事ではまた準備をやり直すことになります。それなら、人が段取りをして加工した方が早い場合もあります。自動化の仕事をしている私自身、自社の加工をロボット化するのは難しいと思っています。

同じ作業を繰り返す仕事なら考えやすい
一方で、ある程度同じ大きさのワークを繰り返し扱う仕事なら、自動化を考えやすくなります。量産品の材料を機械に入れ、加工が終わったら取り出す。そうした作業がまとまっていれば、ロボットに任せる部分を決めやすいです。
夜間にも加工を続けたい場合は、夜の間に何個分の材料を用意できるか、完成品をどこに置くかも考える必要があります。ロボットが一回動くことと、夜間を通して加工を続けられることは、別の話です。
多品種少量では、段取り替えが増える
製品の種類が多く、数量が少ない仕事では、毎回段取り替えが必要です。ワークの形が違えば、ロボットハンドや置き方も変わります。新しい製品が来るたびに調整が必要なら、ロボットを動かす時間より準備の時間が長くなるかもしれません。
「加工機に材料を入れる」という作業だけを見ると、簡単そうに見えます。しかし、何種類の製品を、何個ずつ、どのくらいの頻度で流すのかまで見ないと、実際に使える設備になるかは分かりません。
ロボットを入れても、人の仕事は残る

「ロボットを入れれば、人はいらなくなる」と考えるお客様もいます。でも実際には、材料の準備や段取りが必要です。運転中に短い停止、いわゆるチョコ停が起きることもあります。
止まった理由を調べて復旧できる人がいなければ、そのまま設備は止まります。場合によっては、ロボットのティーチングを修正しなければなりません。導入後に誰が日々の運転を見て、止まった時に誰が対応するのか。そこまで考えておく必要があります。
費用に見合う仕事量があるかを確認する
自動化の相談を受けた時、私はまず費用対効果を見ます。その作業に今どれだけ人の時間がかかっているのか。ロボットに任せると、どれだけの作業を減らせるのか。設備にかける費用を、何年くらいで回収できそうか。
人手不足だからという理由だけで、高価な設備を入れる判断はできません。仕事量が少なければ、設備が動かない時間の方が長くなります。逆に、同じ作業を毎日続けていて、夜間にも加工したいなら、検討する価値があると思います。
最初に決めるのは、製品と作業
町工場の社長から「人がいないので、とりあえずロボットを入れたい」と相談されたら、私は最初に二つ聞きます。
「どの製品を自動化したいですか。」
「その製品の、どの作業をロボットにやらせたいですか。」
ここが決まらないままでは、必要な設備も費用も考えられません。対象の製品と作業が見えたら、数量、段取り替えの回数、人に残る仕事を確認する。そのうえで、ロボットを入れる意味があるかを判断します。
私の工場のように、単品ものが多くて自動化が合わない仕事もあります。人手不足は確かに困りますが、まずは現場の仕事を一つずつ見ていくことが大事だと思います。

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