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第20話|町工場は仕事を断っていい?|仕事がなかった私がお客様を選べるようになるまで

独立したばかりの頃、

私は、

設備的にできる仕事なら、ほとんど何でも受けていました。

仕事がなかったからです。

安くても。

難しそうでも。

納期が厳しくても。

まずは仕事を取らなければ、売上になりません。

当時の私には、

「この仕事はやめておこう。」

と選べる余裕はありませんでした。

でも、16年近く町工場をやってきて、

今は少し考え方が変わりました。

仕事を取ることと同じくらい、仕事を選ぶことも大事。

そう思うようになりました。


目次

「受けなければよかった」と思った仕事もある

図面を見た時には、

「何とかできるだろう。」

と思って受けても、

実際に加工すると想像以上に大変なことがあります。

加工中に材料が歪む。

必要な工具がない。

要求される精度が厳しすぎる。

そんな仕事もありました。

実際にやってみて、

「これは受けなければよかったな。」

と思ったこともあります。

今なら、

図面を見る。

材料費を確認する。

加工方法を考える。

そこまで見て、

価格的にも技術的にも厳しいと思えば、

無理に受けないこともあります。


赤字でも受ける仕事はある

とはいえ、

私は、

赤字になる仕事は絶対にやらない。

と決めているわけではありません。

長く付き合っているお客様から、

「今回は少し協力してほしい。」

と言われれば、

受けることもあります。

ただし、それは、

普段から適正な価格で仕事を出してくれるお客様だからです。

普段きちんと付き合ってくれている。

だから、

困った時にはこちらも協力する。

そういう関係ならいいと思います。

逆に、

毎回、

「予算がない。」

「安くしてほしい。」

では、長く付き合うのは難しいです。


急ぎの仕事は、できるだけ対応する

納期については、

私は今でも、

自分の会社で対応できるなら、できる限り対応します。

急ぎの仕事が入って、

社員が帰った後に、

私が残って徹夜で加工したことも何度もありました。

同じお客様の仕事なら、

「こちらを先にやるので、こっちの納期を少し延ばしてください。」

と相談することもあります。

ただ、

特急品は残業しなければ対応できない場合もあります。

そのため、

急ぎの仕事は少し高めに見積もることもあります。

短納期だから断る。

ではなく、

対応できるなら対応する。ただし、その負担も考える。

今はそんな考え方です。


儲からないお客様との取引をやめたこともある

長く続けていると、

「この会社の仕事は、もうやめよう。」

と決めたこともあります。

理由は、

やっても、やっても利益が出なかったからです。

ただ、

取引をやめるのは怖いです。

その仕事がなくなれば、

当然、売上は減ります。

次に良い仕事が来る保証もありません。

私自身、

「この仕事を断って、本当に大丈夫かな。」

と思いました。

感覚としては、

少しギャンブルに近いところもありました。


安い仕事で機械を埋めない

これは今、

かなり大事だと思っていることです。

安い仕事でも、

機械が空いていれば、

利益がほとんど出なくても受けることがあります。

でも、

安い仕事で機械を全部埋めてしまうと、

良い仕事が来た時に対応できません。

だから、

時には、

あえて機械を空けておく。

という判断も必要だと思っています。

機械が止まっていると、

「何か仕事を入れないともったいない。」

と思います。

でも、

安い仕事で埋めるのか。

それとも、

次の良い仕事を待つのか。

この判断も経営だと思います。


お客様を選べるようになるまで5年くらいかかった

私が、

ある程度、

仕事やお客様を選べるようになったと感じたのは、

起業して5年くらい経ってから

だったと思います。

それまでは、

仕事があるだけでありがたい。

多少条件が悪くても受ける。

そんな状態でした。

でも、

少しずつお客様が増え、

普通の価格で仕事を出してくれる会社が増えてくると、

考え方が変わりました。

今は、

売上を増やすことと、良い仕事を増やすことは違う。

と思っています。


仕事を断ることも、会社を守る仕事

独立したばかりの私は、

設備的にできるなら、

何でも受けました。

それで失敗もしました。

安い仕事もしました。

大変な加工もしました。

納期に追われて徹夜したこともあります。

でも、

そういう経験をしながら、

少しずつ、

「受ける仕事」と「受けない仕事」

を考えるようになりました。

今でも、

安い仕事を全部断るわけではありません。

機械が空いていれば受けることもあります。

長く付き合っているお客様なら、

多少厳しくても協力することがあります。

大事なのは、

目の前の売上だけで決めないこと。

だと思います。

仕事を取ることは大事です。

でも、

時には仕事を断ることも、

会社を続けるための仕事。

今はそう思っています。


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